黄金に勝るもの
金を求めてゴールドラッシュに沸くカリフォルニアに向かったエドワード・ジャクソンの1948年5月20日の日記は、病いと死と隣り合わせの苛酷な旅を記しています。「私の骨を置いていかないでほしい。できることなら故郷の土に還りたい」また、「これほどの賭けはない……誰にも勧められない」と書き送ったのは、ジョン・ウォーカーでした。
妬みを克服するもの
映画「アマデウス」の一場面で、老齢の作曲家サリエリが自作の曲を神父のためにピアノで奏でると、神父は、その曲を知らないと申し訳なさそうに言いました。そこで「この曲ならどうですか?」と、人気急上昇の曲を演奏すると、「あなたの曲とは存じませんでした」と答えました。サリエリは言いました。「いいえ、これはモーツァルトの作品です。」サリエリは、モーツァルトの成功を深く妬みました。モーツァルトの死に一役を買うことにさえなるのです。
満ち足りる秘訣
水泳中の事故で四肢麻痺となり、退院して家に帰ると、ジョニー・エレクソン・タダの生活は一変しました。玄関扉は車椅子には狭く、洗面台は高すぎました。新しい方法を学ぶと決意するまでは、食事の介助が必要でした。初めて腕の添木に特別なスプーンを付けて食べようとすると、ソースを服にこぼして落ち込みました。しかし、彼女はくじけません。ジョニーは語ります。「私の秘訣はイエスさまに頼ることです。『神よ、このことを助けてください』とお願いするのです。」もうスプーンは問題なく使えます。
フリーマーケットの贈物
クリスマスプレゼントにお金をかけすぎていると感じた母親が、今年は、ちょっと工夫しようと決めました。数か月前からリサイクルショップやフリーマーケットを巡って、少額でいつも以上の数の贈物をそろえました。子どもたちはクリスマス・イブに次から次へと大はしゃぎで包みを開けました。そして翌日、さらなるプレゼント。新品でなくて気が咎めていたので、彼女は、クリスマスの当日用も準備しておいたのです。子どもたちは包みを開きながら文句を言いました。「ママったら、プレゼント多すぎ。開くの疲れちゃったよ。」こんな子どもの反応はめったにありません。
切りがない
フランク・ボーマンは月への最初のミッションの機長でしたが、月旅行に感動しなかったと言います。旅程は片道2日ずつでしたが、宇宙酔いで嘔吐しました。無重力状態に興奮したのは最初の30秒だけで、すぐにこんなものかと慣れてしまいました。間近に見る月は殺風景で、クレーターがあばたのようでした。乗組員が灰色の荒れ地を撮影した後は、すぐに退屈したそうです。
バックアップ
サムは個人年金口座を、毎日2回、必ず確認します。30年間掛け金を払い、株が上がったおかげで、やっと年金だけで暮らせる額になりましたが、株価が下がらなければの話です。それで不安なのです。
心の奥底の望み
ダンカンは、何はともあれ経済力だと考え、20代から野心的に働きました。有名なシリコンバレーの企業で出世し莫大な富を得ました。多額の預金、高級車、カリフォルニアの豪邸など、欲しいものすべてを手に入れました。にもかかわらず、彼は物凄く不幸でした。不安で満たされません。実際のところ、富は人生を悪くしたと言います。お金の山は、仲間や友情、喜びをもたらすどころか、頭痛の種になることの方が多かったのです。
モグラ叩き
緊急手術をして病気が治ったと思ったら、次々と請求書が届きました。執刀医、麻酔医、臨床検査、入院施設費…。「保険が下りても数十万円の借金です。これを払い終わるまでは安心して人生を楽しめません。ゲームセンターのモグラ叩きみたい。次から次へと出てくるのですから」と、米国在住のジェイソンは不平を言いました。
秘訣
飼い猫のヒースクリフは、重度のFOMOかもしれないと時々思います。FOMOとは、いい思いをするチャンスを逃すことへの恐れを指しますが、彼は、買い物袋に飛びついて中身を調べたり、野菜を切っているとおこぼれをねだったりします。しかし、もらうとすぐに興味を無くし、つまらなさそうな顔で立ち去るのです。しかし、その姿は現状に満足せず、「もっと、もっと」と常に求める私の姿を映しているのかもしれません。