目に見えない不思議
人生の黄昏時を迎えたグッドリッチ夫人は、ミシガン湖のグランドトラバース湾の水面(みなも)が見える窓辺にぼんやり座っていました。山あり谷ありの人生の記憶に、時折もやがかかったようになります。自分の筆跡すらいずれ分からなくなるのでしょうが、ノートを開いてしたためました。「お気に入りの椅子に足を投げ出して、ぼんやり座っている。陽光にさざめく波はどこに行くのだろう。しかし、天の父よ、数限りない賜物と絶えざる愛に感謝します。いつも驚きます。私は目に見えないお方に信じられないほど恋焦がれています。」
神の救出作戦
通報を受けた警察官が駆けつけ、投光器を照らすと、1台の車が線路に乗り上げていました。パトカーの車載カメラには、こちらに向かって来る巨大な機関車が映っています。証言によれば、列車は時速80kmから130kmぐらいの高速で走っていたそうです。その警察官は、躊躇なく行動し、列車が衝突する直前に気を失ったドライバーを車から引きずり出しました。
正義の神
罪をなすりつけるものを英語で「贖罪のやぎ」と言いますが、オレアリー夫人の牛は、さしずめ「贖罪の牛」でした。その牛は、1871年のシカゴ大火の原因と言われていました。火は3日間燃えつづけ、300人近くが死亡、3人にひとりが家を失いました。原因は、小屋のランタンを牛が倒したことと長年信じられていました。しかし、後日の検証で、市の警察消防委員会は、126年後に、牛と飼い主の潔白を認め、ある近隣住民の行動を精査すべきだったと結論づけました。