すりつけたバター
トールキンの著書『指輪物語』の中で、ビルボ・バギンズに、悪の力を持つ指輪を60年間も所持している影響が表れます。徐々にむしばまれていく自分に打ちひしがれ、彼はガンダルフに言いました。「薄っぺらになったという感じ、わかるでしょう。『引っ張って引き伸ばされた』っていう感じなんですよ。少ないバターを大きすぎるパンの上にすりつけたようなもんです」。彼は「親戚どもがうるさく覗(のぞ)きこんだり……しない所で、ひっそりとのどかに暮らせる所」を探しに家出する決心をしました。
私たちの物語
小さな銀のピンバッジを「思い出の箱」から取り出しました。それは10週目の胎児の足のサイズと形です。最初の子どもを流産した時、早期流産で不幸中の幸いと言われましたが、その言葉に本当に傷つきました。胎児の足は、お腹の中の心臓の鼓動と同じくらいリアルだったのに。しかし神に感謝します。神は、私をうつ状態から解放してくださり、子を失くした親を慰めるために私を用いられました。私たち夫婦は、流産から20年以上経って、その子どもを「カイ」と名付けました。いくつかの言語で「喜び」という意味です。喪失の痛みは消えませんが、神が心を癒やしてくださり、あの経験を人助けにお用いくださっています。
ストレスから平安へ
転居はストレス要因の上位にランクされます。私は20年ほど住んだ家から今の家に引っ越したのですが、独身時代に住んでいた家に結婚後も住んで子どもが生まれたので、物が増えました。
この愛は本物
足元をすくわれるとはこのことです。婚約者の裏切りが分かったのです。その前の恋人も不実でした。ですから、初めてのバイブルスタディーで、神は愛だと聞くと、ジョジーは「これも詐欺かしら」と思いました。信じたら、また傷つくのではないかしらと。
月曜日に感謝して
前の職場では月曜日が憂うつでした。最寄り駅で電車を降りても、ベンチに座って時間をつぶしたものです。締め切りや気まぐれな上司のことを考えると動悸(どうき)がしました。
ゲヘナからの希望
考古学者のガブリエル・バルケイは、1979年、小さな銀製の巻物2巻を発掘しました。何年もかけて注意深く巻物を広げたところ、「主があなたを祝福し、あなたを守られますように。主が御顔をあなたに照らし、あなたを恵まれますように。主が御顔をあなたに向け、あなたに平安を与えられますように」という民数記6章24-26節の文言が双方に刻まれていました。これは紀元前7世紀のものと推定され、現存する世界最古の聖書の記述です。
神は痛みを無駄にしない
オリーブは彼女の診療所から医療機器が搬出されるのを眺めていました。新品の備品も売却しました。開業は長年の夢でしたが、息子カイルが脳性まひで生まれ、彼の世話に専念することにしました。彼女は「何度生まれ変わっても、同じ選択をしたわ。でも、歯科医を諦めるのはつらかった。夢が絶たれたの」と話しました。
悲しみと感謝
母が亡くなったとき、がん病棟の患者の1人が、私に話しかけ「お母様には、とても親切にしてもらいました。私が先に死ぬはずだったのに……」と言ってすすり泣きました。
大水から救い出す
天気予報の3倍以上の大雨が、2021年8月、テネシー州のウェイバリーで降り、数百件の家屋が倒壊し、20名の犠牲者が出ました。熟練のヘリコプターパイロット、ジョエル・ボイヤースの思いやりと高い技術が無かったなら、さらに多くの人命が失われていたでしょう。